古本屋の書評|国民の歴史
- 日付:12月6日
- カテゴリー:古本屋買取堂の書評
前から、ぶ厚い本にしては、ブックオフでもアマゾンでもずいぶん安いな、と思っていたのですがなんとこれが、一刻話題になった「新しい日本の教科書をつくる会」の人が書いた歴史書だった。最近良く読んでいる「ゴーマニズム宣言」(小林よしのり)にも紹介されている。早速、ブックオフで105円で探してきました。
内容は、主として歴史の解説書とでもいうか、年表的な事実の羅列は全くなく、全編日本という国の成り立ちや、国民性、そして先の戦争などの問題について、日本人の視点から、解説している本でした。著者の西尾 幹二氏の言葉を引用すると、
日本の歴史や文化を、古代については中国の尺度をもってはかろうとしたり、また近代については欧米の視点から見ようとしたりする事が何故か一般的となってしまっているが、本来、我々日本人が自国の歴史や文化を語るにあたっては日本人としての確固たる視点を持つべきであろう。我々が日本人としての誇りを取り戻すためにも、それは是非とも必要な事である。
なんとも、当然の話なのですが、日本の歴史家は、古くは古代中国の幻像から、日本は後追いの後進国であるとし、近代は占領国のアメリカのバイアスがかかった視点からしか物事を語っていません。そしてそれが当然のように教科書に使われ、マスコミの基本概念となり、我々は日本古来の伝統や考えを断絶させられ、自国に誇りをもてないでいるのが現実のようです。
この「国民の歴史」では、日本は中国から距離を置いた別の文明であったとし、さらに中国の歴史自体が民族も文化も総入れ替えされた連続性のないものだと両断しています。そして、モンゴルやイスラムの隆盛から逃れることのできた日本と西ヨーロッパにおいて、高度な文明が発達したという背景を示しています。
戦争については、帝国主義の欧米の脅威の証拠をはっきりと提示した上で、日本が日清、日露、そして太平洋戦争へと傾斜していった背景や理由などが明解に示されています。日本は確かに窮鼠であったけれど、自らの置かれた窮状のなかで、人種差別が根本にあるヨーロッパ帝国主義から、実際にアジアを開放したのです。
この本は客観的な事実を書いた歴史書とは言えないのかもしれないですが、歴史書というのは、誰が書いても考察が混じるようです。今、起こっている事実を書こうとしたときでさえ、その事象に係わる関係者すべての側からの事実や正義があります。まして、過去を残った文献によってほじくり出す行為においては尚更のことと言えます。
日本の文化や風習、感性の独自性から考えて、今まで言われてきた歴史がしっくり来ないと思われている人には、是非読んでいただきたい本です。きっと、素晴らしい国に生まれた喜びをさえ、感じる事ができると思いますよ。
