【古本屋のショートショート】七夕
- 日付:6月18日
- カテゴリー:古本屋買取堂の書評
「お~い。ヒロ~?帰るぞ~」
お父さんの少し酔っ払った、大きな声が聞こえた。
日曜日の夕暮れ。日は暮れたけど、すこし紅色の混じった紺色の空は、まだ明るい。
僕の住む、田舎の町の神社は、七夕のお祭りの真っ最中だ。
提灯が並び、大勢の楽しそうな子供や、酔っ払いや、
狛犬の後ろに立てかけられた笹の葉には、
さっき、僕の書いた短冊には、「
お父さんが横目で覗いていたから、わざと、
お父さんは、そのときは見てない振りをしていたけど、
「ちょっと待ってて!」
本当は一人で帰って欲しかったけど、心配されるのも面倒だから。
僕は手に持ったすもも飴の棒をゴミ箱に捨てると、
急いで、さっき書かずに取っておいた金色の短冊を、
僕はサインペンの置いてある机にかじりついた。
「これでよし。」
お父さんの声が聞こえたあたりに駆け戻った。
きっと、急に紺色になってきた町の角の、
「お父さーん」
僕が言うと、思ったとおり、白い提灯の目立つ屋台の、
おおきな手を振って答えた。ワンカップのコップを持って嬉しそうだ。
「ヒロ、焼き鳥食ってけ。何してたんだ?」
僕は答えずに、焼き鳥を頬張った。
ちょっとさめてるけど、甘いタレがおいしい。
「うまい。」僕は、笑った。
お父さんも、でかい手で僕の頭を乱暴にくしゃくしゃにすると、
満足そうに笑った。
おとうさんには言えないけど、金色の短冊に、さっき僕は、
「おかあさんと、ユウと、四人で暮らせますように。」
無理だろうけど。
でも、もしかしたら神様が聞いてくれるかもしれないじゃない?
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