【古本屋のショートショート】フラッシュバック
- 日付:6月18日
- カテゴリー:古本屋買取堂の書評
暑い。エアコンの効いているオフィス。でも背中に背負った窓の、
ブラインドの隙間、3階の窓から外を見ると、
退色したようにも見えるコンクリートの町並み。
海の只中、サーフボードにまたがって見る、
それに対比するすっかりやけて濃い茶色になった自分の腕。
岸に向かい、背後に迫る、
そして、ボードに波の力が「グン」と乗り、
波の上からボトムを覗き込んだ時の意外な程の高さ。
次の瞬間、
砕け散る波頭。聞こえないほど低い衝撃音。
そしてボードから下りた瞬間、突然聞こえてくる高周波の波音。
映像と言うよりも一連の印象として身体に染み付いているものが突
潮の匂いも、水の温度も、
学生の時は波乗りばかりしていた。エアコンの無い、
ヘッドライトに人工芝で作った緑の眉毛を貼り付けられた間抜けな
サーフボードとタオルケット、
千葉やら湘南やら伊豆やら、ひとりで小銭のある限り、
財布には5000円も入っていれば上等。3、
腹が減ったらアンパンをかじり、
朝、波乗りをして、白昼に、次のポイントへ移動。
次に来るはずの素晴らしい波を体験したくて。
ガソリンの残りを気にしながら、窓を全開にして。
光の洪水の中、逃げ水に向かって、
突然頭の中に降って湧いて、頭の中で暴れまわって、
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